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失跡した日本人に成り済ましていたとして、警視庁公安部は、旅券法違反容疑などで一九九七年に国際手配していたアジア系ロシア人とみられる氏名不詳の男を、十三日午後、書類送検する方針を固めた。同部は、男が旧ソ連やロシアの情報機関員として軍事、政治、経済関係の情報収集をするスパイ活動をしていたとみている。

 公安部は九七年、男の自宅を同容疑で家宅捜索。乱数表や受信機などを押収し、同容疑で逮捕状を取得、国際手配していたが、男の氏名や行方が分からないままとなっていた。

 男は九五年二月に日本から出国、九七年に在外の日本大使館でパスポートを更新していたが昨年、期限が切れた。今後、日本に入国する見込みもなくなったことなどから、事実上、捜査を終結させる。

 公安部は、男のスパイ活動に、在日ロシア大使館一等書記官も深く関与していたとみているが、書記官は九七年の家宅捜索の直後、急きょ帰国している。

 男に対する直接の容疑は、九二年七月、オーストリアの日本大使館で、六五年ごろに突然消息を絶った福島県内の日本人男性=当時(34)=に成り済まし旅券を手に入れ、出入国していた疑い。

 これまでの調べによると、男は福島県内の男性が失跡した直後からこの男性に成り済まし、東京都港区赤坂にあった貿易会社の社員として働いていた。同じころ、日本人女性と知り合って結婚。

 公安部の事情聴取に対し、妻は「おかしいと思ったことはあったが夫を信頼していた」などと話しており、詳しい事情を知らずに利用されていたとみられる。

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