http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20080820-OYT8T00907.htm
(読売)
八戸市で1月に起きた母子3人殺害事件。猟奇的な手口で家族3人を殺害した長男(18)に対し、青森家裁は20日、検察官送致(逆送)を決定した。長男の責任能力の有無について、二つの異なった精神鑑定結果が出たことから、家裁の決定が注目されていた。青森地検は10日以内に長男を起訴する方針で、今後は成人と同様に公開の法廷で刑事裁判が始まる見通しだ。
長男を乗せたワゴン車は20日午後1時15分ごろ、青森家裁に到着。同1時半から始まった審判では、長男に対する質問や、検察官、弁護士らによる意見陳述が行われた後、決定が言い渡された。関係者によると、決定が読み上げられている間、長男はいすに座ったまま、表情を変えずに淡々と聞き入ったという。
小川理佳裁判長は、長男の責任能力について、「是非弁別能力や行動制御能力が著しく障害されていたものではなく、完全責任能力を有していた」と認定。そのうえで、「長年にわたり家族に対する愛憎や疎外感などを募らせ、攻撃性や衝動性が内面に蓄積された」と指摘した。さらに、殺人小説を書いていたことについては、「何らかの契機によって、空想上で繰り返し思い描いていた行為を実現させるに至った」と言及した。
「責任能力あり」とした地検依頼の鑑定結果を採用した決定に対し、専門家の意見は分かれた。諸沢英道常磐大教授(犯罪学)は、「犯行直後はパニック状態になり、犯行時の記憶がなくなることは通常起こりうる。犯行時の記憶が定かではないことで責任能力がないとはいえず、結果の重大性を考慮し、逆送としたことは本質を得た判断」と評価した。一方、影山任佐東京工大教授(犯罪精神病理学)は「精神鑑定の結果が二つにわかれているのに、家裁が依頼した精神鑑定の結果を退けた根拠が弱く問題。裁判では、第3の鑑定を行い、なぜ鑑定がわかれたのかも含めて専門家による責任能力の再検討が必要」と指摘した。
審判終了後、付添人の猪原健弁護士は記者団に対し、「2度の精神鑑定ではいずれも治療の必要性に言及しており、裁判所には鑑定の内容を深く検討したうえで結論を出してほしかった」と語った。
審判前に接見した父親によると、長男は「多分逆送になる。早く結果が出てほしい」と話していたという。父親は「ショックはショックだが逆送は覚悟していた。3人を殺したのは事実で、ちゃんとけじめをとらないといけない」と話した。
一方、一家が住んでいた現場アパートの部屋の壁や窓には、今もビニールシートやベニヤ板が張られたまま。近所の主婦(46)は、「前を通ると事件を思い出す」と声を震わせた。近所の女性喫茶店経営者(54)は、「処分にしたがって罪を償ってほしい」と話した。
青森家裁が逆送を決定したのは、犯行の凶悪性と3人を殺害したという事件の重大性から判断したもので、少年犯罪への厳罰化が盛りこまれている改正少年法の趣旨に沿ったものと言える。
改正少年法では、16歳以上の少年が故意に人を死亡させた場合、少年院送致などの保護処分ではなく、「原則逆送」すると定めている。
今回の事件では、長男の責任能力について、検察側と家裁側で精神鑑定の結果が異なった。決定では、家庭環境などが少年の資質に影響しているとしながらも、責任能力を認め、医療少年院などでの保護処分で処遇できる限界を超えているとの結論を導いた。
ただ、長男の弁護士は「精神疾患の影響で適切な判断はできない状態」と決定を不服としており、刑事裁判でも長男の責任能力の有無が争点になりそうだ。
(読売)
八戸市で1月に起きた母子3人殺害事件。猟奇的な手口で家族3人を殺害した長男(18)に対し、青森家裁は20日、検察官送致(逆送)を決定した。長男の責任能力の有無について、二つの異なった精神鑑定結果が出たことから、家裁の決定が注目されていた。青森地検は10日以内に長男を起訴する方針で、今後は成人と同様に公開の法廷で刑事裁判が始まる見通しだ。
長男を乗せたワゴン車は20日午後1時15分ごろ、青森家裁に到着。同1時半から始まった審判では、長男に対する質問や、検察官、弁護士らによる意見陳述が行われた後、決定が言い渡された。関係者によると、決定が読み上げられている間、長男はいすに座ったまま、表情を変えずに淡々と聞き入ったという。
小川理佳裁判長は、長男の責任能力について、「是非弁別能力や行動制御能力が著しく障害されていたものではなく、完全責任能力を有していた」と認定。そのうえで、「長年にわたり家族に対する愛憎や疎外感などを募らせ、攻撃性や衝動性が内面に蓄積された」と指摘した。さらに、殺人小説を書いていたことについては、「何らかの契機によって、空想上で繰り返し思い描いていた行為を実現させるに至った」と言及した。
「責任能力あり」とした地検依頼の鑑定結果を採用した決定に対し、専門家の意見は分かれた。諸沢英道常磐大教授(犯罪学)は、「犯行直後はパニック状態になり、犯行時の記憶がなくなることは通常起こりうる。犯行時の記憶が定かではないことで責任能力がないとはいえず、結果の重大性を考慮し、逆送としたことは本質を得た判断」と評価した。一方、影山任佐東京工大教授(犯罪精神病理学)は「精神鑑定の結果が二つにわかれているのに、家裁が依頼した精神鑑定の結果を退けた根拠が弱く問題。裁判では、第3の鑑定を行い、なぜ鑑定がわかれたのかも含めて専門家による責任能力の再検討が必要」と指摘した。
審判終了後、付添人の猪原健弁護士は記者団に対し、「2度の精神鑑定ではいずれも治療の必要性に言及しており、裁判所には鑑定の内容を深く検討したうえで結論を出してほしかった」と語った。
審判前に接見した父親によると、長男は「多分逆送になる。早く結果が出てほしい」と話していたという。父親は「ショックはショックだが逆送は覚悟していた。3人を殺したのは事実で、ちゃんとけじめをとらないといけない」と話した。
一方、一家が住んでいた現場アパートの部屋の壁や窓には、今もビニールシートやベニヤ板が張られたまま。近所の主婦(46)は、「前を通ると事件を思い出す」と声を震わせた。近所の女性喫茶店経営者(54)は、「処分にしたがって罪を償ってほしい」と話した。
青森家裁が逆送を決定したのは、犯行の凶悪性と3人を殺害したという事件の重大性から判断したもので、少年犯罪への厳罰化が盛りこまれている改正少年法の趣旨に沿ったものと言える。
改正少年法では、16歳以上の少年が故意に人を死亡させた場合、少年院送致などの保護処分ではなく、「原則逆送」すると定めている。
今回の事件では、長男の責任能力について、検察側と家裁側で精神鑑定の結果が異なった。決定では、家庭環境などが少年の資質に影響しているとしながらも、責任能力を認め、医療少年院などでの保護処分で処遇できる限界を超えているとの結論を導いた。
ただ、長男の弁護士は「精神疾患の影響で適切な判断はできない状態」と決定を不服としており、刑事裁判でも長男の責任能力の有無が争点になりそうだ。
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